最近、無性に7歳まで住んでいた場所に行ってみたくなった。
理由はわからないけど、どうしても行きたくなって。
私は小さい頃の記憶があまりない。
きっと、毒親の影響だと思う。
何をして遊んでいたのか、どんな気持ちだったのか、あまり思い出せない。
感情が揺さぶられてしまいそうで不安だったので、いつも一緒にいるぬいぐるみを連れて行った。
不安を感じた時に安心できるよう、ぬいぐるみの顔を見ながら、体を撫でながら、現地に向かった。
まず向かったのは、昔住んでいた集合住宅。
すでに取り壊されていて建物自体はなかった。
空地になっていたけれど、居住していた時の建物と建物の間の小さな空間、建物の周りを子供たちでグルグルと周って遊んだこと、入口の門に貼られた住宅名のプレートなどのイメージが蘇ってきた。
「ここに、私は住んでいたんだな」と思うと、少し胸が熱くなった。
次に行ったのは、子どもの頃によく遊んでいた公園。
昔のことなので子供たちだけで遊んでいたっけ。砂場でよく遊んでいたけれどご時世的にもう砂場はなかった。
公園の名前なんて忘れていたはずなのに、近づくと突然ふっと思い出した。
記憶の底から急に浮かんできて、なつかしさが一気に押し寄せた。
ベンチに座って、インナーチャイルドに思いをはせた。
小さかった私が、そこで楽しそうに遊んでいる姿が思い浮かんだ。
それから通っていた幼稚園と小学校もまわった。
幼稚園で泥団子を作ったこと、小学校の運動会で徒競走をしたこと。
断片的な記憶がしみじみと蘇ってきた。
ぬいぐるみの力も借りて、穏やかな心が満たされる一日となった。
何よりも「私の中の小さい私」がとても嬉しそうだった。
自分で自分を癒す。
そんなこと自分に出来ると思っていなかったけど、この言葉に一歩近づけた気がする。
自分では実感できないけど、たぶん、たぶん、私は前に進んでいるんだと思う。