結婚20年、夫とのこと
結婚してから20年以上が経ちました。子どもにも恵まれ、表向きには「普通の家庭」だったと思います。けれど、その内側では、私のなかにいろいろな葛藤や混乱がありました。
結婚初期
結婚してすぐ子どもを授かり、「自分が親になる」という重圧や不安が一気に押し寄せてきました。その不安をどう処理していいかわからず、私は夫に対して、実家の家族で行われていたような「攻撃的な態度」をとるようになっていました。
ちょっとした不満を、感情のままにぶつける。思ったことをそのまま口にしてしまう。今思えば、あれは甘えでもあり、幼さでもあり、傷ついたまま大人になってしまった私の叫びだったと思います。
7~8年目、夫の変化
そんな状態で7~8年が過ぎた頃、夫に変化が現れました。それまでずっと私の態度に耐えていた彼が、ある時から私に対して口汚くののしるようになったのです。
驚きました。優しかった夫が、まるで別人のようになっていくのを目の当たりにし、私は初めて、「このままでは捨てられるかもしれない」と恐怖を感じました。
私は反省し、彼に攻撃的な態度をやめ、今までの無礼を謝りました。でも、夫の怒りは止まりませんでした。
子どもからは、 「お父さんはお母さんを怒りたくて怒ってるんだよ」 「守ってあげられなくてごめん」 と言われてしまい――私は、離婚届をもらってきて、夫に離婚を申し出ました。
けれど夫は受け入れませんでした。彼自身も、怒りまくっている自分を嫌だと感じていたようです。その後、私たちはなんとか“夫婦”として日々を続けていきました。
でも、その時から私は「彼が怖くなった」
彼の本質は今も変わらず優しい人です。だけど私は、あの時期の記憶が消えず、彼に対して不満を言うことができなくなってしまいました。
もちろん意見の相違はあるし、生活を共にしていれば不満がたまることもある。でも私は、彼の顔色が変わる瞬間が怖くてしかたなくて、「彼を怒らせてはいけない」と思って、黙りこむようになってしまいました。
彼の何気ない一言に傷ついても、それを伝えられない。でも心はモヤモヤしたままで、そうすると私は“必要最小限しか話さない”ようになり、何週間も口をきかなくなることもありました。自分でも、それはよくないとわかっているのに。
「幸せ」と「絶望」が交互に来る日々
2人で旅行に行ったり、カフェでゆっくり過ごしたりする時間は、「夫と結婚して幸せだな」と思える。だけど、彼の一言で一気に奈落に落ちることもある。
「やっぱり私のことなんて、どうでもいいんだ」 「もう離婚したい」
そんな気持ちが、一瞬で心を覆ってしまう。まさに、境界性パーソナリティ障害で言われる“理想化とこき下ろし”の揺れを、自分のなかに見て苦しくなることもあります。
変わり始めたきっかけ
私はカウンセリングを受け始めました。そして、少しずつ、自分の感じていることや困っていることを、夫に伝える練習をしています。
最初はこわかった。でも、今の夫は冷静に、私の話を聞こうとしてくれます。
私は変わろうとしている。そして彼もまた、変わろうとしてくれている。すぐには“理想の夫婦”にはなれないけれど、前よりも少しだけ、「安全な会話」ができるようになってきた。それが今の、私たちのかたちです。
夫と話して気づいたこと
カウンセリングを受け、彼と冷静に話す中で、私はあることに気がつきました。
「夫も私も、完璧な人間ではない」
白黒思考の強い私は、「で、どっちが悪いわけ?」と勝負をしかけてしまいがちでした。 でも、いちばん安心できるはずの関係で、勝ち負けなんて必要なかった。
少しずつの変化
すこしずつ変わりながらも、やはり彼の一言に落ち込み、必要最低限しか話さない私に夫は「どうしたの?大丈夫?」と問いかけてはくれませんでした。
ただ、あるとき彼がLINEでこう言ってくれました。
「俺はこれからもずっと一緒にいたいと思っている」
私は救われました。
私の中の「見捨てられ不安」が、癒された瞬間でした。
これからも彼と穏やかに過ごして行けるよう、生きづらさを手放していきたい。